世界最大級のカスタムカーの祭典、東京オートサロン。その出展企業のなかには、毎年軒を連ねる「老舗チューナー」たちがいる。1980年の創業以来、日本のチューニングシーンを牽引し続けてきた総合パーツメーカー「ブリッツ(BLITZ)」は、そのなかでも代表的なメーカーだ。
オートサロン常連の彼らに課せられるのは、つねに時代をリードする「新しい価値観の提示」というミッション。2026年、ホンダ・プレリュードを中心とする展示を通じて、ブリッツはどのようなスタイルを提案してくれるのか。
現地取材で見えてきた老舗ブランドの「あくなき探究心」と、注目の最新アイテムを詳細にレポートする。
「電脳集団」の異名をもつ総合メーカー「ブリッツ」、その信頼の源泉

サスペンションに電子パーツ、吸排気にボディ補強まで。チューニングの総合デパートたるブリッツは、もともとドイツ語の「稲妻」を社名の由来とし、ドイツのKKK社製ターボキットの販売から歴史をスタートさせた。
創業当時から徹底しているのは、最高速アタックやドラッグレースといった極限状態での開発テストである。想像を絶する環境で試行錯誤を繰り返し、その知見を製品にフィードバックさせることで高い品質と信頼性を築き上げてきた。
1990年代からは電子パーツ分野を開拓し、電子式ブーストコントローラーやチューニングECU、スロットルコントローラーなど、ユーザーが手軽にパワーアップを実感できるパーツをリリース。その開発力から、「電脳集団」の異名でも知られる日本屈指のチューニングメーカーだ。

さらに特筆すべきは、最新車種への対応スピードの速さと、その対応車種の幅広さである。スポーツ系車種だけでなくミニバンや軽自動車に至るまで、リリースされたばかりの新型車に対していち早くパーツを開発。「愛車をもっと自分に合った形にしたい」というカスタムユーザーの根源的欲求に答え続けてきた。
ストリートからサーキットまで、あらゆるシーンで「走る喜び」を具現化する老舗ブランドとして、幅広い層のファンから絶大な信頼を寄せられている。
「純正プラスアルファ」の魅力を引き出し、カーライフを豊かにする提案

2026年の東京オートサロンにおいて、ブリッツが掲げるブーステーマは「Beyond Evolution ――進化のその先へ――」。最新技術をまとって登場した現行車両に対し、ブリッツが培ってきたノウハウを掛け合わせることで、「つねに先を見据えたカスタム」を提案。車両のもつポテンシャルをユーザーの期待以上に広げていくという、ブリッツの挑戦的な姿勢が込められている。

2025年に登場したばかりのプレリュードに対していち早くデモカーを用意したことも、この姿勢のあらわれだろう。素性もよく注目度も高い車種とはいえ、台数としてはそう多くは見込めない。それに対して惜しみなくパーツ開発を進めることに、「メジャーではない車種でも妥協なく進化を追求する」という同社の矜持がうかがえる。
「スポーツ性の追求」から「日常の不満の解消」まで対応する間口の広いチューニング

年々純正の完成度が高まっていくなかで、チューニングメーカーは一体何をユーザーに提供していくべきなのか。今回の出展で強く感じられたのは、「走り」を求めるユーザー以外に対しても、カーライフをさまざまな角度から改善できる処方箋を提示している点である。
たとえばコーナーリング時の姿勢を安定させるボディ補強は、ドライバーにとっての操縦安定性を高めるだけではない。「子どもが車酔いしてしまう」といった日常的な悩みに対しても、解決の糸口を示してくれる。
ほかにも、「軽自動車に人や荷物を載せたとき、もう少し加速をよくしたい」など、ライフスタイルにあわせて「純正プラスアルファ」を欲するユーザーは少なくない。このとき、チューニング専門店に足を運ばずとも、近くのカー用品店で解決策を見出せるのがブリッツ製品の特徴でもある。

ブランドが掲げる「Tune Your Life」というテーマには、カスタムを通じてユーザーの人生をより豊かにしたいという願いがある。コアなチューニングファンだけでなく、「日常の足としての愛車に気持ちよく乗りたい」というライトユーザーに対しても、安心感や快適性を提供すること。それが、今のブリッツが目指す「進化のその先」にある姿なのかもしれない。
「守り」も「走り」も進化。初公開を含む注目の3大アイテム
ブリッツブースでとくに注目すべきは、今回が初公開となるアイテムを含む3つの主力製品だ。電子パーツから足まわり、そしてボディ補強に至るまで、総合パーツメーカーならではの多彩なラインナップが揃う。
【レーダー探知機】データ更新が完全無料。誤警報も激減させた「TL316RW」

まず紹介するのは、ブリッツのレーザー&レーダー探知機「Touch-LASER(タッチレーザー)」シリーズの最新モデル「TL316RW」だ。
その最大の特徴は、無線LANを標準搭載し、スマートフォンとのテザリングなどでデータ更新が「完全無料」で行える点にある。日々アップデートされる移動式オービスのGPS情報や地図データなどを、つねに最新の状態にキープできるのだ。
もちろん肝心の受信性能も着実にアップさせている。とくに誤警報の低減には並々ならぬ労力が注がれており、このモデルでは先代機種のTL315Rから誤警報を87%カット。
現場での実走テストにも余念がなく、新たに設置された取り締まり機があれば、実際にその場まで出向いて動作をチェックする。こうした地道な作業の繰り返しによって、取り締まり機の電波を識別するアルゴリズムを構築しているのだ。



電子パーツの開発を得意とする「電脳集団ブリッツ」ならではの洗練されたインターフェイスも大きな特徴。別売のOBDII接続によって車両情報の詳細な表示も可能であり、好みに応じて画面をカスタマイズできる。「計器類のひとつ」としてコクピットをよりメカニカルに彩るアクセントにもなるだろう。
最新のJMA-600取り締まり機やMSSSの新周波数帯にも対応し、受信精度を高めつつ、速度や加減速Gに応じて不要な警報をカットする「フルオート機能」も搭載。まさに「お守り」として信頼できる1台に仕上がっている。
【ボディ補強】不快な振動を抑え、乗り心地と走りの質を高める「B-MCB」

近年のカスタムトレンドにおいて、ボディ補強や振動減衰は非常に注目度の高いカテゴリーである。走行中のボディの変形や不快な振動を抑制し、ハンドリングの安定性と乗り心地を高める補強パーツは、手間やコストを抑えつつ確かな効果を実感したいユーザーにとって影の主役になっている。
タワーバーなどの定番アイテムに加えて、ブリッツが注力しているのが「B-MCB」というボディアシストパーツである。これはアイシンが開発した「Motion Control Beam(モーションコントロールビーム)」の機構を採用し、内部のスプリングと摩擦機構が「荷重に対する反力」を発生させることで、ボディの横揺れや縦揺れを収束させる。



さらに、ブリッツが車種に最適化されたセッティングを施すことで、ロールを抑えたクリアな操舵性と、路面からの入力をいなすしなやかさを両立させた。
コーナーリング時のトレース性の向上といったスポーツ走行面でのメリットはもちろん、振動低減による長距離ドライブの疲労軽減など、そのメリットは多岐にわたる。
現状ではGR86/BRZ(ZN8/ZD8)用がリリースされており、今後はロードスターやシビックといったスポーツ系の車種を中心に、アルファードやタント、ムーヴといった車種にもラインナップを拡充していく予定だという。
「背の高い車の揺れが気になる」というライトユーザーから、「車高調を入れて足を固めたいが、乗り心地はよくしたい」と悩むユーザーまで、快適性を高める土台となるアイテムだ。
ブリッツの車高調に革命!サーキットの走りと街乗りの快適性を両立する「ZZ-R C」

ブリッツを代表する全長調整式サスペンション「DAMPER ZZ-R」シリーズに、プレミアムモデルの「DAMPER ZZ-R C」が新登場。ZZ-Rシリーズを象徴するレッドのアダプターに代わり、シルバーのアジャスターとブラックのアッパーでモノトーンに仕上げる。
ベースとなるZZ-Rは、大径ピストンを採用した「単筒式(モノチューブ)」構造により、放熱性に優れ、安定した減衰力を発揮するのが特徴だ。「全長調整式」や「32段減衰力調整」といった高機能を備えつつコストを抑え、長年多くのストリート派に愛されてきた。
今回のZZ-R Cは、通常のストリート向けZZ-Rとは一線を画す「サーキット走行」を視野に入れたモデル。もともとサーキット向けには「ZZ-R SpecC」が展開されていたが、今回のZZ-R Cはサーキットでのハードな走行から、帰りの快適な街乗りまで「減衰力の調整だけ」でこなせる懐の深さが魅力。



内部構造の面でも、ブリッツの歴史で類を見ないほど大幅な変更が施されているという。まず、高速走行時のダイレクト感や走行安定性を高めるため、専用のピストンバルブを採用。
また幅広い領域でフラットな減衰調整を実現する新設計のニードルや、ハードな動きに耐える高粘度のオイルと、高負荷な状況でも確かな性能を発揮するためのパーツが惜しみなく導入されている。
サーキットでの走りを追求するドライバーでも、帰路では「リラックスして運転したい」というのが正直なところ。「大人のプレミアムサスペンション」として、あらゆるステージで高次元の走りを求めるユーザーへの新たな回答となる。
愛車のポテンシャルと所有欲を満たす、こだわりのサブアイテム
走りをより刺激的にするパワーアップパーツや、ファン必見のオリジナルグッズ。カーライフをトータルで支えるために、ブリッツはきわめて多彩なアイテムを展開している。
手軽にパワーアップを実感できる「パワコン」「スロコン」が新世代に!

2008年に登場したブリッツの「Thro Con(スロコン)」は、電子制御式アクセルのモッサリ感を解消できる製品として、チューニングの間口を大きく広げてきた。その技術は年々進歩し、カプラーオンの接続だけでパワーアップまで実現する「Power Con(パワコン)」とともに発展している。
その系譜を継ぐ新世代モデルが「パワコンX」である。ターボ車のブースト圧や、NA車・ハイブリッド車のエアフロセンサー電圧をコントロールすることにより、純正ECUの安全マージン内で最大限のパワーを引き出す。

このパワコンXの最大のトピックは、本体スイッチだけで3つのモード切り替えが可能になった点にある。
従来のパワコンはつねに最大出力を発揮し、ノーマルの状態に戻すにはカプラーを外す必要があった。対してパワコンXでは、最大出力のモード2と、マイルドな出力のモード1の切り替えが可能であり、ノーマル状態への復帰も本体のOFFスイッチで可能に。
対応車種は190を超え、走りのステージでモアパワーを求める層だけでなく、軽自動車やミニバンなど、荷物満載時の「あと少しのパワーが欲しい」というニーズにも応えてくれる製品だ。
一方、アクセルレスポンスを制御するスロコンは、今年の春を目処に「スロコンX」にアップデートされる。複雑化する純正の制御システムに対応し、よりきめ細やかなコントロールが可能になる見込みだ。

パワコンXとスロコンXを組み合わせたパッケージである「パワスロX」も、これにあわせて発表される予定。手軽なパワーアップとスロットル特性の変化によって、毎日のドライブにさらなる高揚感が生まれるはずだ。
【グッズ】車種専用設計のスマホホルダーなど機能美あふれるアクセサリー
世界中に多くのファンを抱えるブリッツは、機能性とデザイン性を兼ね備えたアクセサリーやグッズも多数展開している。なかでも注目は、車種別専用設計でスマートな取り付けを実現した「スマートフォンホルダー」だ。

ダッシュボードやエアコン送風口の形状はさまざまであり、無数の商品から愛車にフィットするものを見つけるのは骨が折れる。その点、車種別の切削加工によって製作されるブリッツ製ホルダーであれば、ストレスなく安全にスマホを視界に収められる。

またエンジンルームの整備性を高め高級感を演出する「エンジンフードダンパー」も、ボンネットを開ける機会の多いスポーツカー乗りには嬉しい製品だろう。

その他、インテリアの質感を向上させる定番のシフトノブや、ブリッツのロゴが入ったアパレルなど、ファン同士のアイデンティティを示すファッションアイテムとして好評を博している。
(編集協力:株式会社ブリッツ)






