車検が切れたクルマは、基本的に保管場所から外へ自走させることはできません。
そのため、車検が切れたクルマを整備工場へ持ち込むには、特別な手続きや運搬手段が求められます。
では、車検が切れたクルマを整備工場へ持ち込むには、どのような方法があるのでしょうか。
車検切れのクルマを整備工場まで自走させるための「仮ナンバー」

車検が切れているクルマは、そのまま公道を走行することはできません。
万が一走行すると、道路運送車両法第58条に違反するため、違反点数6点と6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
では、車検が切れたクルマを整備工場まで運ぶには、どのような方法があるのでしょうか。
一般的な手段のひとつとして挙げられるのが、臨時運行許可番号標、いわゆる仮ナンバーを取得し、整備工場まで自走して持ち込む方法です。
仮ナンバーは、車検が切れた状態のクルマであっても、自走で一定の目的地まで走行させるために、特例的に公道を走行可能とする制度です。
この制度を利用するには、運行経路や日付が明確に定められており、車検を受けるなどの特定の目的で一時的に運行が許可されます。
仮ナンバーの申請先は、各市区町村の役所となっており、申請時にはいくつかの書類を用意する必要があります。
まず必要なのは、自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責保険の証明書で、原本の提示が義務付けられています。
電子交付されたPDFファイルやその印刷物では申請できず、保険会社が発行する紙の保険証が求められます。
また、車両を確認するための書類として、「自動車検査証」や「登録識別情報等通知書」、「自動車通関証明書」などのいずれかの原本が必要です。
さらに、申請者の住所を確認できる書類(運転免許証や住民票など)を用意し、申請手数料750円を支払えば、仮ナンバーの交付を受けることができます。
なお、いうまでもなく仮ナンバーは一時的な運行を許可するものであり、許可された日付以外に使用することはできません。
目的の整備工場までの道のりや日時が確定してから、余裕をもって申請をすることが求められます。
故障のリスクが高ければ積載車で運搬する手段も

仮ナンバーを取得すれば公道走行は可能になりますが、長期間車検が切れていた車両や不具合があるクルマを無理に走行させることは、トラブルの原因となりかねません。
そのような場合には、クルマを運搬するための積載車を利用して、整備工場までの移送手段のひとつです。
この場合、いくつか注意点も存在します。
まず、車検切れの状態では、いかなる理由があっても自走による公道走行は道路運送車両法第58条に違反するおそれがあり、同法第108条に基づき罰則の対象となります。
したがって、積載作業をおこなう場所も、私有地内に限定される点に注意が必要です。
また、積載車による運搬を希望する場合、あらかじめ整備工場へ相談して、搬入の段取りや日程を調整しておくことが重要です。
工場によっては、積載車の手配や搬送も請け負っている場合もあるため、最適な方法を選ぶためにも、工場との連携は不可欠だといえます。
まとめ
このように、車検切れのクルマを整備工場まで運ぶには、仮ナンバーの申請や積載車の手配など、法令を遵守した適切な対応が不可欠です。
無理な自走や未申請での運行は罰則の対象となるため、事前の確認と準備を怠らないことが大切です。








