ジヤトコ株式会社は、自動車の電動化を加速させる革新的な電動パワートレイン「X-in-1」の採用拡大を発表した。この技術は、日産の電気自動車(EV)およびe-POWER(日産独自のハイブリッドシステム)搭載車に2025年より順次導入される予定である。主要な駆動部品を一体化することで、車両の性能向上、効率化、そして静粛性の改善に貢献するとされており、自動車愛好者やモータースポーツファンにとって、今後の新型車の進化に注目すべきポイントである。
ジヤトコが拓く電動化の新境地:革新的な「X-in-1」パワートレイン
自動車業界は「電動化」の大きな波の中にあり、EVやハイブリッド車(HV)の普及が進んでいる。こうした電動車両の心臓部となるのが、電動パワートレインである。自動車用自動変速機(AT・オートマチックトランスミッション、CVT・無段変速機)の分野で長年業界を牽引してきたジヤトコは、その技術力を活かし、電動化時代に対応する革新的な技術「X-in-1(エックス・イン・ワン)」を開発した。この技術は、電動車両の性能と効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めている。
ジヤトコは、世界中の自動車に搭載される変速機の開発・製造を手がけてきた企業であり、モビリティ社会を支える「縁の下の力持ち」として知られている。同社は、長年培ってきた「モノづくり」の技術と知見を、電動パワートレインの開発に注ぎ込んでいる。
「X-in-1」の核心:一体化(モジュール化)がもたらすメリット
「X-in-1」が画期的なのは、これまで個別に配置されていた電動車両の主要駆動部品を、ひとつのコンパクトなユニットに「一体化(モジュール化)」する点にある。具体的には、モーター、インバーター(バッテリーの直流電力をモーターを駆動する交流電力に変換する装置)、ギアボックスといった部品が統合される。

一体化されたX-in-1のイメージ図。部品点数の削減と高効率化が期待できる。
この一体化は、複数のメリットをもたらす。まず、部品点数の削減により生産効率が向上し、組み立て工程が簡素化される。次に、ユニット全体の小型化と高剛性化が実現され、車両への搭載スペースの自由度が増すとともに、走行性能や耐久性の向上にも寄与する。さらに、各部品が最適化された形で連携することで、全体の電力伝達効率が向上し、より静かで力強く、少ないエネルギーで走行できる性能向上に繋がる。
ジヤトコは、「X-in-1」をEV向けの「3-in-1」と、e-POWER向けの「5-in-1」という2つのラインアップで展開している。
EVの駆動を最適化する「3-in-1」ユニット
EV向けの「3-in-1」は、以下の3つの主要部品を一体化したユニットである。
- モーター: 車両を動かす動力源。
- 発電機: 回生ブレーキ(車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに戻すシステム)などで電気を生み出す役割も担う。
- インバーター: バッテリーの直流電力をモーターを駆動する交流電力に変換する装置。

3-in-1の製品画像。コンパクトにまとまっているのがわかる。
これらの部品が一体化されることで、EVの静粛性と電費性能(電力消費効率)が向上する。ユニットの高剛性化により不要な振動や騒音が抑制され、電力変換効率や駆動効率の向上は、限られたバッテリー容量でより長い航続距離を実現することに貢献する。この「3-in-1」は、2025年に北米で販売開始される新型「リーフ」に採用される予定であり、グローバル市場でのEVの「走り」をさらに洗練させるものと期待される。
e-POWERの効率を極める「5-in-1」ユニット
日産が展開するe-POWERシステム向けの「5-in-1」は、「3-in-1」の構成に加えて、さらに以下の2つの部品が統合されている。
- 減速機: モーターの回転数をタイヤの回転数に合わせて減速させるギア。
- 増速機: エンジンの回転数を発電機に伝える際に増速させるギア。

5-in-1の製品画像。e-POWERシステムの中核を担うユニットである。
e-POWERは、エンジンで発電した電気を使ってモーターで走行するシステムである。このシステムにおいて「5-in-1」は、各ギアの最適配置・設計により、システムの伝達効率を向上させ、燃費の改善や走行性能の向上に大きく寄与する。エンジンで発電する電気を最大限に活用し、よりスムーズで力強い走りを実現する鍵となる技術である。
この「5-in-1」は、以下の日産の人気モデルに採用される予定だ。
- キャシュカイ: 2025年9月販売開始(欧州)
- 新型「キックス」: 2026年6月販売開始(日本)
- 国内向けとしては初の第3世代e-POWER搭載車となる。
- 新型「エルグランド」: 2026年夏販売開始予定(日本)
- 新型「ローグ」: 2026年後半販売開始予定(北米)

今回X-in-1が採用される、新型「リーフ」、新型「キックス」、新型「エルグランド」など日産の複数モデル。
「キックス」や「エルグランド」といった日本で人気の高いモデルへの採用は、今後の自動車選びにも影響を与えるだろう。より静かで燃費効率の良いe-POWER車が、今後続々と市場に登場することが予想される。
ジヤトコが培ってきた「モノづくり」の技術力
ジヤトコがこのような革新的な電動パワートレインを生み出せる背景には、長年にわたり培ってきた「モノづくり」の技術力がある。特に、トランスミッション開発で得た「ギア加工技術」や、部品配置を最適化する「トポロジー設計」といった専門技術が、電動車両の高効率・高性能化に大きく貢献している。同社は、本社を置く静岡県富士市で開発から生産までを一貫して行う体制を構築しており、これにより高品質な製品を安定してグローバル市場に供給することが可能となっている。
主要採用車種と発売時期
ジヤトコの「X-in-1」電動パワートレインが採用される主要車種と発売時期は以下の通りである。
| 車種 | 発売時期 | 地域 | X-in-1の種類 |
|---|---|---|---|
| 新型「リーフ」 | 2025年 | 北米 | 3-in-1 |
| キャシュカイ | 2025年9月 | 欧州 | 5-in-1 |
| 新型「キックス」 | 2026年6月 | 日本 | 5-in-1 |
| 新型「エルグランド」 | 2026年夏 | 日本 | 5-in-1 |
| 新型「ローグ」 | 2026年後半 | 北米 | 5-in-1 |
未来のモビリティを加速するジヤトコの挑戦
ジヤトコは「技術と情熱でモビリティの可能性を拡げる」というコーポレートパーパス(企業の存在意義)を掲げている。今回の「X-in-1」の採用拡大は、まさにその言葉を体現するものである。電動パワートレインの進化は、単に自動車が電気で走行するだけでなく、より静かでスムーズ、そして地球環境に優しいモビリティ社会の実現へとつながる。ジヤトコの技術が、今後の自動車・モーターサイクル業界における電動化の進展と、私たちのドライブ体験をどのように変えていくか、引き続き注目される。
本製品は2025年から2026年にかけて順次市場に投入される新型車に搭載される予定であり、静かで高効率な電動車両を求めるユーザーに適している。最新のEVやe-POWER車の購入を検討する際には、ジヤトコの「X-in-1」がもたらす性能向上にも注目すると良いだろう。
リリース提供元:ジヤトコ株式会社







