緊急車両とは?

救急車やパトカーなどのように緊急時にサイレンを鳴らして走っている車両をいわゆる緊急車両と考えるとわかりやすいです。
法的な定義に注目すると、道路交通法第39条(緊急自動車の通行区分等)にある通りで、「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう」とされています。
つまり、同じ車両でも常に緊急車両扱いになるわけではなく、緊急の用務で走行しているときに限って緊急自動車として扱われるという点が重要です。
緊急車両の種類
緊急自動車は、道路交通法施行令第13条に列挙される車両のうち、原則として公安委員会の指定を受けたもの(または一部は届出によるもの)です。
イメージしやすいように「公共」「民間」に分けて代表例を紹介します。
公共の緊急車両
警察車両、消防車両、救急車などが代表例です。
このほかにも、法令上は道路管理・災害対応などの目的で指定される車両が含まれます。実際に緊急自動車として扱われるかどうかは、用途や指定の有無によって異なります。
民間の緊急車両
電気・ガス・水道・鉄道・通信などの応急作業に用いられる車両や、医療・救護・搬送など一定の目的で指定される車両もあります。
ただし、民間企業の車両であっても、すべてが緊急自動車になるわけではありません。施行令の対象に該当し、かつ公安委員会の指定(または届出)を受けていることが前提になります。
公安委員会へ申請して緊急車両となる車両
緊急自動車として扱われるには、原則として公安委員会の指定が必要です。
ただし、車種や用途によっては届出による類型もあります。
手続きの流れや必要書類は都道府県ごとに異なるため、実際に申請する場合は所轄の警察や公安委員会の案内に従いましょう。
- 公安委員会が申請を受理(事前審査)し、書面にて通知する。
- 国土交通省運輸支局に車両を登録する。
- 自動車検査証の写しを公安委員会に提出する。
- 公安委員会が緊急自動車指定書(書式名は自治体による)を交付。
緊急車両の運転に必要な免許

緊急車両を運転するための専用免許は特にありませんが、その緊急車両の(道路交通法における)車種区分に合わせた運転免許は必要です。
例えば、パトカーや救急車を運転するのに必要な免許は普通自動車免許です。
消防車は装備の違いで普通免許で運転できるものもあれば、中型免許や準中型免許が必要なものもあります。

緊急車両と警告灯

緊急車両にとって警光灯は主要装備品の1つです。
例えば道路交通法施工令第14条(緊急自動車の要件)をまとめると、道路交通法第13条の1項が該当する自動車(例えば特別な構造または装備を持つ消防車)を緊急の用務に使うには法律で決められたサイレンを鳴らすと同時に赤色の警光灯をつけなければならないとされています。
また、光量や警光灯を確認できる最低限の距離などさらに細かい条件もあり、複雑です。
青色灯や黄色灯の車は?
一方で、一部の緊急車両は赤色の代わりに青色灯や黄色灯を装着しています。
青色灯は自主防犯活動用自動車に装着されます。自主防犯活動用自動車とは警察署の許可を受けて、学校の児童・生徒の登下校時パトロール活動を行う自動車です。自治体が所有するケースが多くあります。
黄色灯は市街地を走行する清掃車両や、高速道路のパトロールカーなどに装着されています。

緊急車両のサイレン音はどれも同じ?

緊急車両のサイレンの音は緊急車両の種類(目的)ごとに異なります。パトカー、救急車、消防車のサイレンを比べてみましょう。
パトカーのサイレン
パトカーのサイレンを文字で表現すると「ウーーー」というような音です。それが繰り返される仕様で、4秒周期と8秒周期と2種類あります。
白バイのサイレンは「ヒュオーーン」といった感じの音で、パトカーのサイレンと比べるとより高音な印象です。
消防車(消防自動車)のサイレン
消防車のサイレンは次の3つに分類することができます。
| 場面 | 使われるもの | 文字表現 |
| 火災現場への出動時 | サイレントと鐘 | ウー カンカンカン |
| 火災現場から戻る時 | 鐘 | カン!カン!カン! |
| 火事以外の災害現場 ※「救助」「救急」「警戒」など | サイレン音 | ウー!ウー!ウー! |
救急車のサイレン
緊急車のサイレンはピーポー音を繰り返す仕様です。加えて、細かな工夫がなされています。
例えば、救急車のサイレン音はパトカーや消防車と比較すると柔らかい音質で、これは救急車の判別をしやすくすること、そしてサイレン音による患者への負担を軽減することに関係します。
さらに、音域の異なる2つのサイレン音が用意されています。1つは通常のサイレン音で、もう1つは住宅がたくさんある地域で鳴らすものです。騒音ならびに近隣住民への配慮のためとなっています。
救急車は、現場へ駆けつける点では消防車やパトカーと同じですが、患者を病院へ搬送する役割も担っており、往路以外でも緊急走行をする点でこれらと異なる点が特徴的です。

緊急車両は一般車両と何が違う?

緊急車両が走行する時、その法規制は一般車両とは全く異なるものとなります。それは走行中だけではありません。
緊急走行時に交通法規が変わる
道路交通法第39条では、緊急車両は追越やその他のやむを得ない必要がある場合に、道路の右側部分にはみ出して通行することができるとされています。
本来、同条第四項で車両は道路の左側を走らなければならないとされているので、一般車両は同様のことをすることはできません。
そして同39条の2項は、本来の法規制では一旦停止しなければならない場合でも停止することを要しないと定めており、他の交通に注意して徐行するべき旨が続けて記されているものの、先の通行区分と併せて考えても一般車両とは交通法規が違うとわかります。
緊急走行時にはいくつかの行為が取り締まり対象でなくなる
さきほど、緊急車両走行時は一般車両とは異なる交通法規になると説明しましたが、より具体的にまとめると次のような行為が取り締まり対象ではなくなります。
- 赤信号で交差点等へ徐行で進入
- 右側通行や通行禁止帯などの走行
- Uターン禁止、右折禁止、横断禁止などでの走行
- 追い越し禁止車線での追い越し
- 違法駐車
- シートベルトの着用義務
ナンバープレートが「8」で始まる
緊急自動車のナンバープレートは、多くの人々が所有する自動車のナンバープレートと共有する要素がある一方で、種別の分類番号(地名の右隣にある数字)が8番で始まる点が異なります。
これは緊急車両が特種用途自動車の要件を満たしているからです。軽自動車緊急自動車は880番、それ以外の緊急自動車は800番になります。

緊急車両が近づいてきたらどう対応するべき?

緊急車両が近づいてきた場合に一般車両の運転手がとるべき対応方法は道路交通法第40条(緊急自動車の優先)に説明されています。
交差点やその付近で緊急自動車が近づいてきたことを確認した場合には、一般車両は交差点を避けると同時に道路左側に車両を寄せて停車するよう定められています。
上記以外の場所で緊急車両が接近した場合には道路左側へ車両を寄せて停車するように定められているので(同乗2項)、道路左側へ車両を寄せるのが基本的な対応方法と考えて良いでしょう。
緊急車両の進行を妨げない
市街地や高速道路で車両走行中に緊急車両が近づいてきた場合、緊急車両の進行を妨げない・邪魔しないことが最も重要です。運転手は、走行車線の種類や状況に併せた対応が求められます。
駐停車禁止場所に駐停車しない
緊急車両はいつどこの道を走行するか全くわからないことを考慮すると、運転手が駐停車禁止場所や狭い道路に車両を停めないことも、緊急車両に配慮した対応と考えられます。
対応方法を考えておく
頭ではわかっていても実際に緊急車両が接近してきた時には慌てふためく人もいることでしょう。出勤・帰宅ラッシュで渋滞している時や、極端に狭い道路など、程度対応方法をイメージしておくことは多少なりとも有効です。
前方から近づいてきた時
道路の状況にもよりますが、前方から近づいてきた時には救急車が通過できる十分なスペースを空けるべきでしょう。片側1車線の道路で反対車線が渋滞している場合には、救急車は中央線を跨ぐように走る可能性もあるので、可能な限り道路の左側へ寄せましょう。
信号待ち・渋滞時に後方から近づいてきた時
信号待ちや渋滞で停車している時に緊急車両が後方から近づいてきた時の対応方法はあまり思い浮かびませんが、最低限左側に避けることができるでしょう。
次にできることは、一時的に移動できるスペースを探すことです。すぐ側に駐車場付きの飲食店や食料品店などがあればそこへ移動して、緊急車両のために道を開くことができます
避けられる場所がない時
道路上に避けられる場所が無い時にとるべき行動は2つで、1つは道路上以外のスペース(コンビニ駐車場のようなもの)を探すこと、そしてもう1つは来た道を後退することです。
高速道路での対処方法
高速道路と一言に言っても走行場面によりけりですが、例えば緊急車両が後方からやってくることに音やミラーで気がついたら、どちら側からやってきているのかを確かめて、それに合わせて徐行・移動などするのが良いでしょう。
緊急車両を進路妨害するとどうなる?

緊急車両を妨害する行為は取り締まり対象
緊急車両の進行を妨害する行為は「緊急車妨害等」として取り締まりの対象になります。
反則金や違反点数は車種や違反内容によって異なりますが、例えば普通車の場合、反則金は6,000円とされています(最新の反則金一覧を確認してください)。
反則金の額や違反点数は数ある道路交通法の反則行為のものと比べて緩い部類ですが、緊急車両走行時は1分・1秒が極めて重い意味を持つ状況が多いので、運転手が決して犯してはならない違反行為とも言えるでしょう。
緊急車両と交通事故を起こすとどうなる?
「必ず一般車両が10割過失になる」というわけではありませんが、緊急車両の進行を妨げていた、道を譲らなかったなどの事情があれば、一般車両側の過失が大きくなる可能性は高いといえるでしょう。
ただし、緊急車両として走行していない時(一般車両と同じ交通法規が適応される時)はこの限りではありません。
車の運転中、いつどこから緊急車両が来るのかはわかりません。落ち着いて対応できるよう、日頃から周りを見て運転したり、周囲の状況察知に差し支えのない程度のスピーカー音にするなどしておきましょう。








