バイクではヘルメットの着用が義務となっている一方で、近年普及が進んでいる特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)や自転車の場合は努力義務となっています。
そもそも、義務と努力義務にはどのような違いがあるのでしょうか。
義務と努力義務って何が違うの?法律上のペナルティをチェック

一般的に、法令で義務を定める場合は条文の末尾に「〜しなければならない」という表現が用いられる一方で、努力義務を定める場合は「〜するよう努めなければならない」といった表現が使われます。
義務は法的に従うことが求められる規定であるのに対し、努力義務は、一定の行動を取るよう努めることを求める規定です。努力義務に反しても、通常はそれだけで罰則が科されることはありません。一方、義務違反に対する罰則や行政処分の有無は、それぞれの法律で個別に定められています。
バイクを運転する際のヘルメット着用は、道路交通法第71条の4第1項で義務付けられています。着用せずに運転すると「乗車用ヘルメット着用義務違反」となり、違反点数1点が付されますが、反則金はありません。また、同条第2項では、運転者がヘルメットを着用していない人を同乗させることも禁止されています。
特定小型原付のヘルメット着用は道路交通法第71条の4第3項、自転車については同法第63条の11において、それぞれ努力義務とされています。
いずれも法律上、ヘルメットを着用するよう努めることが求められていますが、着用しなかったことだけを理由に反則金や違反点数が科されることはありません。
とはいえ、特定小型原付は万が一の交通事故や転倒によって頭部を負傷するおそれがあるため、自身の命を守る観点からも着用が推奨されています。
このように、義務と努力義務では法的な位置づけが異なりますが、ヘルメットに関する規定はいずれも交通事故による被害を軽減するために設けられています。
初心者マークと高齢運転者マークも?身近な交通ルールの違いに注目

また、ヘルメットの着用規定以外にも、身近な道路交通ルールの中には義務と努力義務が混在しているケースが多々あり、自動車を運転する際に車体に取り付ける各種の標識マークに関する規定などがその代表例として挙げられます。
準中型免許または普通免許の取得から通算1年未満の運転者には、一定の例外を除き、道路交通法第71条の5第1項および第2項により、初心運転者標識の表示が義務付けられています。
対象となる運転者が初心者マークを表示せずに運転すると、「初心運転者標識表示義務違反」に該当します。普通車の場合は反則金4000円が科され、違反点数1点が付されます。
なお、バイクには初心者マークの表示義務はありません。
その一方で、70歳以上の運転者が普通自動車を運転する場合、加齢にともなう身体機能の低下が運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、高齢運転者標識を表示するよう努めることとされています。表示は努力義務であり、表示しなかったことによる罰則はありません。
危険防止のためやむを得ない場合を除き、高齢運転者標識を表示した普通自動車への幅寄せや、必要な車間距離を保てなくなるような進路変更は禁止されています。違反した場合、普通車と二輪車では反則金6000円に加え、違反点数1点が付されます。
このように、身近な交通ルールの中には法的に遵守を求められる義務と、一定の行動を取るよう努めることを求める努力義務が混在しているため、一見似たような交通ルールであってもそれぞれの正確な区別と理解が不可欠といえそうです。
まとめ
努力義務として定められているルールも、自身の安全を守るための大切な指標となります。
違反に対する罰則が設けられていないからといって軽視せず、制度の違いや設けられた背景を正しく理解することが大切です。






