日本全国に300店舗以上を展開し、国内最大級のネットワークを誇るレッドバロン。その安心感を支えているのは、「5つ星品質」と呼ばれる独自の品質基準と、全国どこでも変わらない高水準のアフターサービスです。
では、その品質はどのように生み出されているのでしょうか。答えは、愛知県岡崎市に集約された「ヒトづくり」と「モノづくり」の現場にありました。
サービスマンの技術と人間力を磨き続ける「テクニカルセンター」と「二輪整備専門スクール」。そして、ユーザーに販売した数多くの愛車を支え続ける「本社工場」。そこには、「お客様に一日でも長く愛車に乗り続けてもらいたい」という揺るぎない信念を形にするため、長年積み重ねられてきた独自の取り組みが息づいています。
レッドバロンが築き上げた“他社には簡単に真似できない仕組み”、その舞台裏を紹介しましょう。
「レッドバロンのヒトづくり」
“技術は一日にして成らず”全国のサービスマンを支える育成拠点
オートバイの整備の世界では、かつて「技術は先輩の背中を見て覚えるもの」という考え方が当たり前でした。しかし、人の命を預かるオートバイだからこそ、それだけでは十分とは言えません。レッドバロンが目指したのは、経験や勘だけに頼らず、誰もが同じ基準で高い整備品質を身に付けられる環境づくりでした。
ご存じのとおり、オートバイは同じ機種でも年式によって、平たく言えば前期と後期で仕様がガラリと変わる例が少なくありません。また、近年は各種電子デバイスを搭載したモデルが増えており、サービスマンはその種類や介入条件などについても把握する必要があります。
全国展開している各店舗において、高い水準のサービスと技術をどのように均一化し、提供していくか。レッドバロンは早い段階からこのテーマと向き合った結果、今からおよそ30年前の1997年に「同期の研修制度」をスタートさせます。これは工場長に就任するサービスマンを対象としたプログラムで、本格的な技術教育の起点となりました。
これと平行して、2年後の1999年には研修施設「レッドバロンテクニカルセンター」を完成させ、稼動を開始しました。一度に100名が整備実習できるという規模であり、これを短期間で完成させたスピード感にレッドバロンの決心が表れています。

愛知県岡崎市にあるレッドバロンテクニカルセンターは1999年に完成。2002年には同敷地内に二輪整備専門スクールが開校します。
そして、2002年にはテクニカルセンター内で「二輪整備専門スクール」が開校します。工具を握った経験がなくても、「オートバイが好き」という熱意さえあれば、一人前のサービスマンへ育て上げる。そんな覚悟から誕生したのがこの教育施設です。
実際、新入社員の7割以上(2019年入社の実績)が整備未経験で入社し、このスクールからキャリアをスタートさせています。また、研修期間中も実務経験にカウントされるので、入社からわずか半年で整備士資格に挑戦する方も少なくありません。加えて、学費は掛からないばかりか、研修期間中も正社員としての待遇が保証されているので、これから学校へ入り直すのが難しい中途の方にとってもメリットは大きいでしょう。1日8時間、3か月で約500時間を整備研修だけに集中できるので、短期間での成長が期待できるのです。

二輪整備専門スクールは、無資格・未経験者を対象としており、学校の学部や学科に関係なく、さらには新卒や中途の別を問わず応募可能です。
二輪整備専門スクールは
独自の「山手線方式」とタイムトライアルで日々研鑽
二輪整備専門スクールのカリキュラムを紹介しましょう。
午前に理論、午後に実践。「山手線方式」で効率よく学ぶ
午前は座学、昼食を挟んで午後は実車を使用しての実技という、実践的なスタイルです。そして、最も特徴的なのが「山手線方式」と名付けられたカリキュラムです。日々のテーマが独立かつ完結しているため、入学や卒業のタイミングがいつであっても、効率的に学習が成立します。

午前中に行われる学科(座学)。この日はキャブレターの脱着・調整、そしてガソリンタンクの錆取りをテーマとした授業が行われていました。

30名ほどが受けていた授業では、テーマに合わせて各自にCVキャブレターと工具が配られていました。講師の説明を聞きながら実物を分解し、内部構造を理論的に理解する。受講者の眼差しは真剣そのものでした。

午前の座学が終わったら、受講生と講師が一緒に昼食を楽しみます。レッドバロンが運営するレストランのシェフが常駐しており、栄養バランスのとれた料理が提供されるのです。
午前中に学んだ知識を、その日のうちに実車で確かめる
午後からの実技で使われる整備実習場には、店舗で使用しているものと同じバイクリフトとツールキャディが用意されています。工具の正しい使い方から、現場を想定した実践的な整備まで、必要な技術を幅広く学ぶことができます。この日は、午前中に学んだキャブレターの脱着をさっそく修練していました。

CB400SFの4連キャブレターをスムーズに外す受講生。学んだ知識をそのまま実践へと落とし込めるので、メカニズムへの理解が一気に高まります。
実技の授業では、整備の正確性やその速さを競う「タイムトライアル」が毎日実施されています。これは他の受講者との優劣を争うものではなく、自身の実力をタイムという客観的な数字で知るためのもの。一般的な販売店であれば数か月に一度しかないような作業を、1日に何度も反復することで、圧倒的な経験値を積むことができるのです。
店舗と同じ設備と工具を使い、現場で通用する技術を磨く

ツールキャディ(工具セット)は店舗で使用されているものと同一で、正確かつ無駄なく作業するために設計されたレッドバロンのオリジナル品。つまり、自分で工具を準備する必要はありません。現場と全く同じ環境で学べるので、店舗配備後はすぐにサービスマンとして活躍できるのです。

実技では多種多様な実車が使われており、ここにズラリと並んでいるCB400SBはその一部。壁際にはタイヤチェンジャーがズラリと並んでいます。

フロントフォークの分解・整備に関するカリキュラムも。毎日のテーマに重複がないので、一つの項目を集中的に学べるのです。

内燃機関とは異なった知識が求められる電動オートバイ。それを学ぶためのカリキュラムもすでに用意されていました。教材はカワサキのNinja e-1です。
整備技術だけではない。接客と車両の扱い方も学ぶ
二輪整備専門スクールでは、接客技術講習も実施されます。これはオートバイの症状やお客さまの悩み・不安を的確に聞き出し、最適な整備につなげるためです。また、自分たちが整備した内容を分かりやすく説明するためにも、対話技能が必要となります。
加えて、お客さまの大切なオートバイを預かる上で、取り回し技術の習得も必要不可欠です。単なる修理技術だけでなく、サービスマンとしての心構えから学べるテクニカルセンターは、まさに“道場”と言えるでしょう。

テクニカルセンター内には店舗と同様のカウンターが設けられています。現場を想定した実践的なロールプレイングを行い、接客能力の向上を図ります。

パイロンの間をスラロームしながら後退する取り回し練習。この他、エンジンの駆動力を使わずにトラックの荷台へ積み込む練習なども行われていました。こうして、お客さまの大切なオートバイを扱うための技術と心構えを学ぶのです。
「ボルト1本」にも責任を持つ、サービスマン育成の基本理念

レッドバロン取締役副社長の藤田貴弘さんは、2004年に現職へ就任。人材育成および整備士不足という課題にいち早く取り組み、独自の教育体制を築き上げてきました。
レッドバロンの藤田貴弘副社長は、次のように話しています。
「テクニカルセンターは、入社時のわずかな期間だけ学ぶ場所ではありません。すべてのサービスマンを包括し、生涯にわたって育成し続けるための拠点なのです。そして、特に執拗なまでに伝えているのが『ボルトが緩まない整備』という基本品質です。オートバイが発する凄まじい振動の下では、たった1本のボルトの締め忘れが重大な事故に直結します。『エンジンを分解する技術と、外装のボルトをたった1本、正確に締める技術。その難易度と責任の重さは全く同じである』という真理を学ぶ、まさに“神聖な道場”と言えるでしょう」
未経験からサービスマンへ。受講生が語る成長の実感

受講生の一人、齋藤大地さん。もともとレッドバロン千葉東でアルバイトをしており、整備力の高い工場を間近で見ていたこと、また尊敬できる先輩がいたことなどが、入社のきっかけになったとコメントしてくれました。
受講生の一人、齋藤大地さんに二輪整備専門スクールについての印象を聞きました。
「入寮して2か月ぐらいでしょうか。カリキュラムは全体の1/3ぐらいを消化したところですね。最初は不安だったんですけど、講師の皆さんが分かりやすく教えてくれるので、毎日が充実しています。キャブレターなんて触るのはほぼ初めてですから。一人でメンテしていると自己流になってしまいますし、技術力はいつまでも上がらないので、このスクールに入校して本当に良かったと思っています」と、笑顔で語ってくれました。

研修期間中は全寮制で、通勤時間や費用の心配は無用。宿泊施設は完全個室で、家具や家電は備え付けられています。よって、必要最低限の身の回り品のみで入寮できるのです。

受講生が自由に利用できる自習室。二輪専門誌を自由に閲覧することができます。
「レッドバロンのモノづくり」
充実したアフターサービスを支える本社工場
レッドバロンにおけるヒトづくりの拠点「テクニカルセンター」に続いては、モノづくりの拠点である「本社工場」を紹介しましょう。
テクニカルセンターからおよそ17km、同じく愛知県岡崎市内の旧東海道沿いにレッドバロンの本社工場があります。敷地面積は33,000㎡、およそ1万坪と聞けば、その広大さが想像に難くないでしょう。

東名高速・岡崎ICから約5kmの地点にあるレッドバロン本社工場。レッドバロン会員、ロイヤルクラブ会員(及びその同伴者)を対象とした無料見学会を毎日実施中(年末年始を除く。前日までにレッドバロン各店舗で予約申し込みのこと)。
約3700機種・60万点。愛車を支え続ける巨大パーツストック
ストックヤードに足を踏み入れると、見上げるほど背の高いパーツパレット群に圧倒されます。各パレットには機種別に整然とパーツが保管されており、その数は現時点で約3700機種、60万点にも上ります。そして、将来的には1万機種(!)を目指しているというから驚きです。

車両メーカーの部品在庫義務期間は、生産終了後約7年とされています。つまり、その期間を過ぎたあと、故障や事故などで修理が必要となったとしても、パーツ供給の保証はされていません。そのため、突然乗れなくなってしまうという不安が常に付きまとっていました。
そうしたライダーの悩みの種を解消するべく、レッドバロンでは35年も前からリサイクルパーツをストックする専属部署を開設し、2002年に本社工場を設立したのです。

リサイクルパーツの元となっているのは、全国のレッドバロンから集められたダメージ車両です。年間3000台規模でサービスマンがていねいに分解。すべてのパーツを検品し、クリーニング後は必要に応じて加修。

こうして高品質なリサイクルパーツとして蘇らせるのです。この加修技術の積み重ねこそがシステムの根幹であり、ここが単なる「倉庫」ではなく「本社工場」と呼ばれている由縁です。
そして、この膨大なパーツのストックを筆頭に、高い技術水準、豊富なサービス情報の三本柱が揃っているからこそ、レッドバロンは中古車における最長3年間の「パーツ保証」が提供できるようになったのです。

エンジンから塗装まで「加修技術」で幅広く対応
レッドバロンでは、外注での対応が難しい作業を優先的に開発し、加修技術として確立しました。修理可能な部品は極力再生し、リサイクルパーツとして使用可能な状態へと仕上げていくのです。

エンジン修理部門のある第9工場には、マシニングセンタやボーリング、バルブシートカッターなど、内燃機関の専門ショップと同等以上の設備が揃っています。こうした機械設備にはこれまでに総額109億円が投資されており、現在も増え続けているということです。

レッドバロンでは作業の精度や効率を高めるため、いわゆるSST(スペシャルサービスツール、特殊工具)を製作することも珍しくありません。ここに並んでいるのはほんの一部で、こうした取り組みが整備品質を高めているのです。

欠損したフロートピンの支柱やスターターバイパスパイプを修理し、キャブレターを蘇らせた例。補修部品が手に入らず、仕方なく高価な社外キャブレターに交換する例も少なくありませんが、レッドバロンの中古車ならリビルド品が供給されるのです。

純正のリヤショックは基本的に非分解式ですが、レッドバロンでは独自の技術と設備によってオーバーホールを可能に。月間で400本あまりを再生しているとのこと。

レッドバロンの塗装部門では、純正色を忠実に再現するため「AI調色」を導入。これを補完するのがサービスマンの職人技で、こうしたライムグリーンの微妙な違いにも対応できるのが強みです。
岡崎で育まれた「ヒトづくり」と「モノづくり」
サービスマンを育てる「ヒトづくり」と、愛車を守り続ける「モノづくり」。そのどちらか一方ではなく、両輪を長年磨き続けてきたからこそ、レッドバロンの「5つ星品質」は支えられているのです。店頭で整備を行うサービスマンの技術、その一つひとつの作業の裏側には、岡崎で積み重ねられてきた膨大な経験とノウハウがあります。
「愛車と、一日でも長く付き合っていただきたい」
その想いは、全国のレッドバロンで今日も変わることなく受け継がれ、お客さまのオートバイライフを支え続けているのです。





