バイクのハイテク化は年々加速していき、最近ではスマートフォンをバイクにマウントすることでナビとして利用するのはもう当たり前の時代。
しかし、バイクにスマホをマウントして使うことでスマホのカメラが故障してしまったり、不意な脱落によってスマホが破損してしまったりするリスクがあり、バイク用のナビやデバイスというのも年々新しいものが登場するものの、やはりスマホに比べて操作性がもっさりしていたり、ナビとしての使い勝手が悪かったりと、なんだか今ひとつなアイテムが多かった印象だ。
そんな中、タナックスから新たに登場したのが『スマートライドモニター AIO-6』シリーズである。
前作シリーズとなるAIO-5もバイク用モニターとして未だ高い人気を誇っていることから期待値はかなり高いのだが、今回実際に使用してみたところ数値で見るスペック差よりも圧倒的に進化しているのが体感できたので、今回は新しい『スマートライドモニター AIO-6』シリーズから『スマートライドモニター AIO-6 LTE』を紹介していこう。
TANAX / スマートライドモニター AIO-6 LTE : impression




タナックスから新たに登場した『スマートライドモニター AIO-6 LTE』は、CHIGEE(チギー)社との共同開発によって誕生したバイク用モニターとなっており、中国の公共交通機関の無線などを製造しているメーカーであるCHIGEEの技術力や品質を担保しつつ、タナックスによる国内での万全なサポート体制が相乗することで、最近ECサイトで数多く見かける安価ながらも「どのレビューを参考にしたらいいの?」というようなバイク用モニターとは一線を画した、確かな信頼・安心感というのはやっぱり値段以上に魅力的だ。
まるでアクションカムのように高級感のある化粧箱を開けていくと、前モデルのAIO-5からAIO-6になったことで6インチへと実に44%も大きくなったディスプレイはやっぱり体感としてかなりデカく感じられ、iPhone17proと比べてみても一回り近く大きい筐体は、iPhone17pro maxくらいの大きさとなる。


『スマートライドモニター AIO-6』シリーズは『スマートライドモニター AIO-6 LTE』と『スマートライドモニター AIO-6 MAX』というラインナップとなっていて、その違いとしてはSIMカードが入るかどうかという違いである。
これは『スマートライドモニター AIO-6 LTE』にSIMカードを挿入することで4G通信機能を使った下記の機能を使うために用意されているものだ。



ライブストリーミング再生



アラート通知してくれる

また、付属するSIMカードについては2ギガの初期容量もしくは使用開始から180日のいずれかを満たした時点で追加でのデータ容量購入(2ギガの追加購入で$30 / 約4,400円)が必要となってしまうので、上記機能を使わないというライダーであれば最初からSIMカードが入らないモデルの『スマートライドモニター AIO-6 MAX』という選択がおすすめだ。
※SIMカードを入れる目的は、モニター単体で4G回線に接続する事となっているため、SIMカードが入らないMAXでもスマホとの接続やオプションで接続した際のカメラ機能といった、上記以外の機能はもちろん使用可能。
実際にSR400に取り付けてみた!




『スマートライドモニター AIO-6 LTE』をヤマハSR400に取り付けていく。
まずはモニターを取り付けるハンドル周りを確認して、クランプを仮固定。そして、取付位置が決まったらあとは配線を取り回していくのだが、配線はバッテリーに直接繋ぐプラスとマイナスにキーオンで連動するアクセサリー電源の3本のみなので、整備の知識がある方やバイクを少しいじったことがある方であれば簡単に設置できるはずだ。
ここの配線のキモとなるのはキーオンで連動するアクセサリー電源をどこから取ってくるかだ。バッテリー付近に最初からアクセサリー電源が用意されているような車両でない限り、メインハーネスから車体前方と後方に分かれた配線から見つけてくるのがセオリー。しかし、ヘッドライト内部の前方から取ってくる場合はアクセサリー電源用の配線だけ単独でやたらと長くなってしまうので、私のSR400の場合はバッテリーの上にあるリアフェンダーから飛び出たテールランプの常備灯(スモールランプ)の配線から取り出すことにした。
モニターの配線が済んだら後はメインハーネスに沿わせるような形でヘッドライト内部まで引き込んで、バッテリーから引っ張ってきたハーネスと片側がUSB-Cになっている電源ケーブルを接続して配線を綺麗にまとめたら完成。
意外にも工業高校(電気科)卒の私にとって電工ペンチや圧着工具は親の顔より見ており、配線加工はお手の物なので30分もかからずインストールすることができた。






接続が完了したらキーを回して起動確認。AIO-5からAIO-6となったことで画面サイズが大きくなっただけでなく、1000ニトからより高輝度な2300ニト(約2倍)になった明るいモニターがバッチリ起動。
言語設定やタイムゾーン設定などといった初回のアクティベーションが完了すると、モニターを使用する上でのいくつかの注意事項が表示された後(初回のみ)、ホーム画面へと移行する。

美しいモニターは視認性が高く、タッチ感度もラグがなくめちゃくちゃスムーズに操作できる…!
実は以前に安価なバイク用モニターを使用したことがあるのだが、当時からしても2世代くらい前のOSが積まれていたこともあって、本体の設定を完了するのでさえ一苦労した挙句、マップを読み込んでいるうちに目的地に着いてしまうほど。
そんな苦い経験から、「本当はスマホレベルでサクサク動くバイク用のモニターが欲しいけれど、今のところ新しいスマホに変えたタイミングで古いスマホをバイク用として割り切って使った方が幸せになれるはず!」と盲信することにしていたのだが、この操作感と快適さには流石に目が覚めた。
スマホをナビ代わりにしているライダーは全員、今すぐこれを買うべきだ…!!



スマホとのBluetooth接続も実にスムーズで、車のナビなんかと同様にペアリングキーの入力と了承を求められるので、表示通りに通りにタップしていくだけでペアリング完了。
Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しているので、ペアリング作業についても一度機器登録を行ってしまえばモニターがオンになる度に自動で接続してくれる上、いちいちパケットやバッグからスマホを取り出す手間も無く、モニターから操作ができてしまうのだ…!
もちろんApple CarPlayで接続されたスマホから目的地設定や選曲の操作をしてもモニターと連動されているので一切遅延することもなく、スマホとモニターのどちらからでも操作が可能となっている。
これは私の中で革命的に便利で、実際ツーリング時に降車してバイクを離れる度にマウントからスマホを取り外したり(バイクから離れるとメインスマホとのテザリングも切れる)、取り外さなくてもバッテリー残量が気になるので電源をオフにしたりと、面倒くさがり屋の私にとって本っ当に煩わしい作業だった。




実際に走行時にナビアプリを使った操作感やGPSの感度についてもスマホとなんら変わらず、画面が大きい分iPadなどのタブレット端末でナビをしているような見やすさまである。
さらにナビ画面と音楽アプリを同時に分割表示することもでき(iPadのsplit viewのような機能)、ホーム画面やApple CarPlayのホーム画面、分割表示など、本体上部に配置された物理ボタンまで用意されていルって…これってまさに完璧な設計じゃない?

すでに完璧な設計の『スマートライドモニター AIO-6 LTE』、『スマートライドモニター AIO-6 MAX』だが、別売りのオプションとして200万画素の高品質な前後の車載カメラを取り付けることでドライブレコーダーとして使うことができたり、同じく別売りのタイヤ空気圧センサーを取り付ければリアルタイムで空気圧をモニタリングできたりと、ハード面での拡張が可能なことに加えて、頻繁に行われるOSのアップデートをすることでソフト面についてもさらに進化し続けていくのだから末恐ろしい。


そして、やはりなんと言っても国内企業であるあのタナックスが販売・サポートをしてくれるという安心感はハンパなく、精密機器という性質上、万が一にも何か初期不良や使い方が分からないなどのトラブルがあった際にも国内で対応してもらえるというのが最後の決め手となり、もう何も迷う必要はなくなってしまったのだ。
私には『使う時間の長い順に設備投資をしていくべき』という持論があり、身の回りで言うとスマホ>PC>カメラのように、日常での使用頻度が高い順に生活インフラを整えていくとQOLは間違いなく爆上がりするので、スマホをナビ代わりにしているライダーは全員、今すぐこれを買うべきだ…!!
もちろん普段どんなバイクの使い方をしているかによって重要度は変わってきてしまうのだが、この『スマートライドモニター AIO-6 LTE』は街乗りからツーリングまでバイクに乗る時間が長ければ長いほどに優先順位は高く、99,000円(税込)という価格は初期投資こそ必要なものの、導入するタイミングが早ければ早いだけ原価償却期間が増える(フリーランス思考が強い)ので、総体的に見てお得なのである。
(編集協力:タナックス株式会社)








