街中や渋滞中の道路で、車と車の間をバイクが通り抜けていく光景は珍しくありません。
いわゆる「すり抜け」と呼ばれる走行方法は、目的地への到着時間を短縮できる可能性がある一方、状況によっては交通違反に問われる場合や、事故の危険を伴うことがあります。
では、すり抜けにはどのようなリスクがあるのでしょうか。
バイクのすり抜けは危険で、法的リスクもある

渋滞中や信号待ちの列で、待ち時間に耐えかねて車の間を縫うように進むバイクはしばしば見受けられます。
すり抜けは到着時間を短縮できる場合もありますが、この行為は法的なリスクを伴うだけでなく、事故につながる危険性もあります。
では、すり抜けには具体的にどのようなリスクや危険が潜んでいるのでしょうか。
法的リスク
まず、すり抜けは交通違反に問われることがあります。
道路交通法にはすり抜け自体を取り締まる条文は存在しないものの、すり抜けに伴う行為が交通違反にあたるおそれがあります。
すり抜けに伴って犯しやすい違反のひとつが、通行区分違反です。
たとえば、歩道のない道路で歩行者用の「路側帯」を走行したり、一時的に反対車線へはみ出すと、この違反に該当します。
また、信号待ちや渋滞中の車列の間を抜けて先頭に出る行為は、道路交通法第32条に定められる「割込み等」という交通違反にあたる可能性があるほか、停止線を越えて進入した場合は信号無視とみなされる可能性があります。
加えて、黄線で区切られた車両通行帯をまたいで移動する「イエローカット」は道路交通法第26条の2に定められる「進路変更禁止違反」に該当する可能性があります。
さらに、左側からの追い越しや交差点付近での追い越しも、道路交通法第28条から第30条で定められた「追越し違反」にあたる場合があります。
このように、すり抜けは状況によって交通違反となることがある行為であり、避けるほうが無難です。
事故の危険
すり抜けは法的なリスクに加え、事故の危険性も高い行為です。
バイクは車両の死角に入りやすく、ドライバーから気付かれにくいため、急な進路変更やドアの開閉などに対応しきれない場合があります。
さらに、車と車の間は幅が限られており、わずかな接触でも転倒や大きな事故につながるおそれがあります。
また、渋滞時には、歩行者や自転車が車列の間を横断することも少なくありません。こうした状況ですり抜けを行えば、接触事故のリスクが一層高まります。
SNSでは、バイクのすり抜けを迷惑に思う声が大きい

このようなバイクのすり抜けについて、SNSではどのような意見があるのでしょうか。
SNSでは、バイクのすり抜けについて否定的な意見が多く見られます。
特に渋滞中や信号待ちの車列の間を高速で通り抜ける様子は、動画や写真とともに投稿され、「危ない」「マナーが悪い」といったコメントが寄せられています。
このほか、自動車ドライバーが「急に目の前に現れて驚いた」「ミラーに映らない位置から抜かれてヒヤッとした」など、危険を感じた体験談も見受けられました。
また、中には停車中の車のミラーとすり抜けを試みたバイクが接触するトラブルも報告されており、すり抜けによる実害もあることが示されています。
このように、SNS上では安全面やマナー面での批判が目立ちます。こうした世間の反応は、すり抜けを行うライダーにとっても、行動を見直すきっかけになっているようです。
まとめ
このように、すり抜けは、道路交通法で直接禁止されていないものの、状況によっては複数の交通違反に該当する可能性があります。
また、車両の死角や限られたスペースによる接触など、事故の危険性も高い行為です。
SNSでも否定的な意見が多く、すり抜けは安全面とマナー面の両方から避けるべきだといえます。








