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ツーリングで訪れる感動の聖地 紀伊大島と映画『海難1890』

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

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漫画やアニメ、映画やドラマ、小説、歴史的事件などの舞台を旅する「聖地巡礼」がメジャーになってきた昨今。物語の舞台になった場所は日本中にたくさんありますが、案外、そのことを知らずにツーリングで訪れて満足していることも多いものです。 せっかく行くなら、その土地にちなんだ作品を鑑賞してから行ったほうが、絶対に楽しめますよね!そんな作品と土地について、『関西』担当著者の滝野沢優子さんから紹介していもらいます!気になった作品を見て、その場所を訪れてみましょう!

著・滝野沢優子
Route!掲載日:2019年11月12日

目次

第2回 映画「海難1890」(2015年)の舞台

本州最南端である和歌山県の「潮岬」。潮岬と「くしもと大橋」で繋がっているのが「紀伊大島」。その先端にある樫野崎(かしのざき)へ行くと、そこにはトルコ記念館や、トルコ建国の父で初代大統領のケマル・アタテュルクの騎馬像があったり、トルコグッズを売る土産物屋でトルコ人がドンドルマ(トルコ名物の伸びるアイス)を売っていたりします。

「えっ!?なんでここに、いきなりトルコ?」と不思議に思いますよね?

伸び~るアイス、”ドンドルマ”
トルコ建国の父、ケマル・アタテュルク像

現地に行けばいろいろ説明書きがあるのでその理由がわかりますが、トルコと串本町樫野崎の繋がりは1890年(明治23年)の「エルトゥールル号」の悲劇が原点なのです。

「エルトゥールル号」はオスマン帝国(のちのトルコ)の軍艦で、明治天皇表敬のためはるばる日本へやって来ていましたが、横浜港からの帰路、台風による暴風で串本町の沖で座礁して大破、600名余の乗組員が海に投げ出されるという大惨事が起こりました。そのときに大島村(現在の紀伊大島)の人々が献身的に救助活動を行ない、69名が生還できたのです。

「エルトゥールル号」のことは日本ではあまり知られていませんが、トルコでは学校でも教えているそうで、トルコ人には有名な話です。

このことに加え、その後の日露戦争で日本が勝利したことも、長年ロシアに苦しめられていたトルコにとっては溜飲を下げた出来事であり、日本の好感度はますますアップ!連合艦隊を率いた東郷平八郎はトルコで大人気になりました。ちなみに、同様にロシア嫌いなフィンランドでも東郷平八郎は有名で、以前は「トーゴ―ビール」も売られていたそうです(2002年に行ったときは発見できず)。

「エルトゥールル号」の事件から95年後、恩返しのような出来事もありました。イラン・イラク戦争時の1985年3月、イラク大統領サダム・フセインが「今から48時間後からイラン上空を飛ぶ飛行機はすべて撃ち落とす」と宣言。世界各国は救援機を出してイラン国内から避難させたのに、日本政府だけ自衛隊を海外派遣できないため対応できず、200余名の日本人が空港に取り残されてしまいました。それを知ったトルコ政府は即座に航空機を派遣、自国民より先に日本人全てを退避させたのです。

ということで、トルコは世界でも有数の親日国に間違いありません。実際、私がトルコをツーリングしたときも、「日本人」というだけでいろいろ親切にされました。まったく観光客の来ない、ある小さな田舎町の八百屋のあんちゃんが、「日本人か?」と声を掛けてきたので、「そうだ」というと、いきなりうれしそうな顔をして、たくさんの野菜をくれたこともありました。きっとエルトゥールル号の話を知っていたのでしょう。

2019年現在、紀伊大島には樫野崎にトルコ関連施設がいくつかあるくらいで、いまひとつ地味なイメージです。隣の潮岬のように海沿いの周遊道路もないし、「本州最南端」などのアピールポイントもないので、潮岬には行っても紀伊大島はスルーしてしまうライダーも多いように思いますが、トルコのことを思い出して、ぜひ紀伊大島・樫野崎まで足を延ばしてみてくださいね!アーチ橋とループ橋からなる「くしもと大橋」からは、ダイナミックな海の風景も楽しめますよ。

日本最古の石造灯台「樫野埼灯台」と水仙
紀伊大島で出会ったにゃんこ

ところで、トルコとはまったく関係のない話ですが、今年の取材で、紀伊大島を対岸に望む串本町・橋杭岩の前に「ケープタウン」という名の、昭和テイストの喫茶店を見つけました。

「何故、トルコではなく、南アフリカなの?」

ワインコイン(500円)ランチをいただいたあと、店名の由来を聞くと、

「ここは本州最南端でしょう?そしてケ―プタウンはアフリカ最南端(正確にはアグラス岬だけど)だから」

との答え。なるほどー。さらに、この付近の漁師はケープタウンまで漁に出ることもあるので、串本町民にとってはケープタウンは馴染みの地名なのだそうです。ただし、店主は「行ったことない」とのことでした。

和歌山のケープタウン

さて、「エルトゥールル号」の悲劇を扱った作品としては、2015年、トルコ・日本の合作で映画「海難1890」があります。ぜひこれを見て、紀伊大島を訪れてみてくださいね! 関連リンク

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この記事では「ツーリングマップル」協力のもと、モトメガネ編集部で記事を再編集。今後もさまざまなバイク情報を取り上げていきます。

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