「より多くのライダーにライディングを楽しんでもらたい」という想いで製品を開発しているTERAMOTO(テラモト)。そのTERAMOTOが2024年12月に発売した「EZ+plus(イージープラス)」が、東京モーターサイクルショーでの展示を機に注目を集めている。

実用域でのトルクを向上してくれて、取り付けもカプラーで装着するだけと簡単!
その「EZ+plus」の詳細に迫ってみた!
実用域でのトルクを向上し、さらに扱いやすくする
軽量な車体による取りまわしやすさ、保険代などを含めたランニングコストの低さもあり、125ccクラスの人気が高まっている。かつての排ガス規制はキャブレターで対応できたが、より厳格化された排ガス規制をクリアするためには緻密な燃料噴射が必須で、現在はフューエルインジェクションが主流となっている。しかし、TERAMOTO代表の寺本幸司さんは「現行モデルは最新の厳しい排ガス規制をクリアするために、ガソリンがかなり薄い混合比率になっています。効率のいい燃焼が行なわれていないくらい薄いと言えます」と指摘する。
空気とガソリンの割合を「空燃比」と呼び、一般的にエンジンがフルパワーを発生する「出力空燃比」は13:1とされているが、現行モデルとくに原二クラスや軽二輪では排出ガス中の有害物質を抑えたり燃料消費量を低減するために、15:1~16:1と、ガソリンを薄めに設定しているという。この設定はノッキング(異常燃焼)を起こしやすく、不快な振動も発生しやすい。こうした状態はスロットル開けはじめの低回転域からハーフスロットル(開度90%まで)※1の中回転域でのトルクの細さの要因となり、実際、流れの速い道路や斜度の強い上り坂などで加速力不足として体感されやすい。そのトルク不足を補おうと高回転域までスロットルを開けると、燃費の悪化や排出ガス量の増大にもなりやすい。
※1:実際にはアクセル開度90%までが「クローズドループ」と言い燃料が薄いマップになっている。 開度90%以上になると「オープンループ」になり燃料補正無しのフルパワー状態になる。 EZ+plusはアクセル開度90%以下のクローズドループの部分を補正する装置で、パワーグラフは60%までの変化を記載しているが、実際には開度90%までの部分で変化がある
そんな低~中回転域のトルク不足を解消し、少ないスロットル開度で効率的な加速力を実現するのが「EZ+plus」だという。

グラフは「EZ+plus」装着車と未装着車のトルク発生状態を比較したもので、「EZ+plus」装着車はスロットル開けはじめの開度10%から、ハーフスロットル辺りの開度60%まで明確なトルクアップを実現しているのが分かる。とくにスロットル開度10%~20%ではノーマル(「EZ+plus」未装着車)から12%近くトルクアップを達成。市街地で多用する低回転域でトルクが太くなり、より扱いやすくなっているのだ。
出力空燃比13:1を実現するためにガソリン噴射量を最適化
この低中回転域でのトルクアップは、出力空燃比13:1を追求して「EZ+plus」がガソリン噴射量を最適化した補正信号を送っている効果なのだ。バイクのO2センサー(酸素濃度センサー)からの情報を受けて、純正のシステムが燃料補正を行なう範囲内で「EZ+plus」が燃料補正量を増やしトルクアップを実現している。さらに、ガソリンと空気の適正な混合気による燃焼はピストンの不自然な横ブレも抑制するので、不快な振動も低減する効果も発揮する。

また、「EZ+plus」の燃料補正量は出荷状態では「Hi」になっているが、メインユニット裏側のビス4本を外してフタを開け、スライドスイッチの組み合わせを変えることで、燃料補正量の少ない「Low」、純正状態の「STD」に変更できる。ただし、燃料調節装置(サブコントローラー)やECU書き換えなどでO2センサーをキャンセルすると、「EZ+plus」は使用できなくなる。

車種専用設計で簡単に装着できる
「EZ+plus」の装着は、付属するハーネスを車体側のO2センサーにカプラーで割り込ませることで行なう。このカプラーは車種専用に設計されているので配線加工などは不必要。また、車種毎にカウル脱着の注意点やハーネスの接続先などを記載した「取付ガイド」も同梱されているので、簡単な車両メンテナンスができるスキルがあれば「EZ+plus」は簡単に装着できるのも特徴となっている。

たとえば、ホンダグロム(JC92-100)はシート下に「EZ+plus」を設置。


スズキGSX-R125はリヤフレームに「EZ+plus」を設置。各車両毎にスペース効率も考慮した設計で、カプラーオンによる簡単な取り付けを実現している。


「EZ+plusは燃料噴射量を適正化することで、そのエンジンが持っている本来の低中回転域トルクを引き出すパーツです」と寺本代表。
「EZ+plus」は排気量250cc以下の市販二輪車を想定して開発され、スーパーカブ110・クロスカブ110、グロム125、ADV150用の販売からスタートし、CT125ハンターカブ、ヤマハシグナス、スズキGSX-R125などラインナップを増やしてきた。今後も原付二種や軽二輪のレジャーバイクやスクーターをメインとしつつ適合車種を追加していく予定とのこと。
まとめ
簡単な装着で、トルクアップと振動低減を体感できる「EZ+plus」は、価格も3万9600円でコストパフォーマンスも良好。厳しい排ガス規制に適合した原付二種や軽二輪オーナーで、より軽快な走りを楽しみたいと思っているなら要チェックのパーツだ。
(編集協力:株式会社寺本自動車商会)








