トラックは荷物を運ぶための頼もしい存在ですが、積載の仕方によっては注意が必要な場面もあります。
とくに、引っ越しなどの荷物の多いときには、荷台から荷物がはみ出してしまうような積み方をする場合には、法律で定められたルールを守ることが求められます。
では、安全に走行するためには、積み荷はどの程度まではみ出してもよいのでしょうか。
荷物の積み方は道交法施行令に定められている!

トラックに大きな荷物を積むとき、荷台からはみ出しても荷物の積載ができるのか、疑問に思う人がいるのではないでしょうか。
また、そのような荷物をどうやって積載すればよいのかという疑問を持つ人もいるかもしれません。
実は、積載物がはみ出してよい範囲や適切な積載方法は、道路交通法施行令第22条に記載されています。
同条第3号によれば、積載物は、自動車の長さにその長さの十分の二を加えた長さ、自動車の幅にその幅の十分の二を加えた幅に収まっていなければならないと定められています。
また、同条同号では、積載物を含めた車両の高さが3.8メートルの高さを超えないよう定められています。
さらに、積み方に関しても同条4号に制限があります。
これによれば、積載物は自動車の前後からその長さの10分の1を超えず、左右のはみ出しも、自動車の幅の10分の1を超えないよう定められています。
たとえば長さが4メートルのトラックであれば、後方に最大で40cmまで荷物がはみ出しても問題ないことになります。
また、幅が2メートルのトラックには最大で幅2.4メートルの積載物を載せることができますが、積載物が左右に0.2メートルずつはみ出す形で積載する必要があります。
ただし、あらかじめ所轄の警察署長から制限外積載許可を受けることで、この制限を超える積載をおこなえる可能性があります。
そして、許可なくこの範囲を超えて積載してしまうと、「積載方法制限超過」「積載物大きさ制限超過」として交通違反の取り締まりの対象になるおそれがあります。
違反があった場合には、違反点数1点と普通車7000円、大型車9000円の反則金が科されるため、注意が必要です。
荷物がはみ出す積載をおこなう際には、単に「積めるかどうか」だけでなく、「法律上問題ないかどうか」を確認することが、安全運転につながるといえます。
乗用車での“はみ出し積載”は原則NG 例外が認められる条件とは?

上述の通り、トラックの積載物の大きさなどは厳密に定められています。
では、乗用車はトランクを開けて荷物をはみ出させても大丈夫なのでしょうか。
実は、乗用車がトランクを開けて荷物を積載することは、法律で禁止されています。
道路交通法第71条第4項には「貨物の積載を確実に行う等当該車両等に乗車している者の転落又は積載している物の転落若しくは飛散を防ぐため必要な措置を講ずること」と明記されています。
つまり、運転者は荷物が走行中に落下したり飛び出したりしないよう、確実に積載する義務を負っています。
トランクを開けたまま荷物を積んで走行する行為は、この「転落や飛散を防ぐための措置」が講じられていない状態と見なされる可能性があります。
また、当然ですが、トラックではない一般的な乗用車で荷物をはみ出させるためにトランクやドアを開け走行することには、荷物の落下などを含めた、重大なリスクが伴います。
そのため、基本的には乗用車はトランクやドアなどを開けたまま走行してはいけません。
しかし、タクシーなどの一部のセダンでは、荷物が大きくてトランクが閉まらない場合に、トランクを開けた状態で走行している光景を見かけることがあります。
これは、いくつかの条件をクリアすることで合法的に行われている措置です。
まず、道路交通法第55条2項に違反しないように、外部から車両の方向指示器、ナンバープレート、ブレーキランプ、尾灯などが見えるようにトランクを固定することが必要です。
これをおこなうことで、セダンのような乗車スペースとトランクが仕切られている場合のみ、トランクを開けながら走ることができます。
このように、荷物の積載には、はみ出してもよい範囲や方法が法律で明確に定められています。
ルールを守らず積載すると、違反になるおそれがあるだけでなく、事故の原因にもなりかねません。
荷物が大きいときこそ、法令をよく確認し、安全な積載を心がける必要があるといえます。








