新しいことを始めてみたい春が到来し、大型連休を経て梅雨、そして季節は夏へ……秋が来てまた冬が来る。「バイクの免許、今年こそ!」と思っていても教習所に足が向かない方はいませんか。
バイクでしか得られない、人生を豊かにしてくれるがのもあります。
とはいえ、バイク免許取得を目指すシニア世代にとって不安もあることでしょう。そこで、教習指導員のワタクシ・森モトヒロが、「シニアライダー(教習生)」の心情と教習時の注意点を紹介していきましょう!

シニア世代の二輪免許取得事情
第三次バイクブームとも言われる昨今、「今年こそバイクデビューするぞ!」と思い立ったものの、未だに教習所へ足が向かない……。周りのバイク仲間がツーリングを楽しんでいる現状に焦りを感じる今年こそ、その思いを形にしてはいかがでしょうか。
思考はパターン化している。
日々仕事に邁進し「還暦」の2文字が浮かび、子供が親の手を離れ、次なる目標を意識し始めたときに思い返す「青春時代」。平成初頭のバイクブームの中にいた自分に戻れる「最後のチャンスだ!」と心に決めて教習所へ向かうかたは決して少なくありません。

「うしろめたさ」を払拭したい。
私の感覚的なことではありますが、50代~60代の教習生の担当をさせていただくと、「今さらバイクに乗りたがるオジサンなんていないよね?」と、恥ずかしそうなトーンで尋ねられることがありますが、多くのかたが同じように考え受講しているので珍しいことではありません。

近年のバイクブームでのリターンライダーは「シニア世代」がその中核です。教習所にも同年代の方々が集まるのは必然と言えるでしょう。
バイクには「若返り」の効果があるのかも……
もう一度バイクで行きたかった場所、バイクで走りたかったあのルート、節目を迎えた自分をアップデートなど、免許取得後の目的は様々。
そうやって免許を取得したあたに共通しているのは、「バイクに乗ってるシニア世代」は同年代からは若々しく感じられる……だそうです。

私の小言私自身も体験したことですが、所内での卒業検定を合格した後の歩く姿が、入校した頃と比べて背筋が「シャキッ」と伸びた状態になっていた60代男性を見たことがあります。
バイクデビューは「若返り」の効果があるのかもしれないと……感じざるを得ません。
二輪教習開始する時の注意点

ケガに注意。
自慢だった関節は固くなり、少しの運動で息が上がってしまうといったように体力は年齢とともに衰えます。実際に教習車を引き起こす際に「ギックリ腰」に見舞われたかたもいます。技能教習前は自主的に柔軟体操などの軽い運動を行うことをおすすめします。
バイクは転倒すると下半身へダメージを負う傾向が高いため、下半身ストレッチや足首のストレッチなどが効果的です。
無理をしない。
一度乗り始めると、楽しくてスロットルを開けがちになるかたもいます。「意外に簡単」と思っても、バイクは二つの車輪でバランスを取って走り、常に重力や遠心力等のモーメントが絡み合いながら安定を図っている乗り物。まさに「点」をとらえるような不安定な乗り物なので一歩間違えば大事故になります。
「家に帰って晩酌があるんだから!」

など、何でも良いので「心のブレーキ」を忘れず受講してください。
あきらめても、誰にも迷惑かからない。
加齢と共に、視力や体力、瞬発力は鈍くなっていきます。また動体視力や反射の衰えは、危険回避能力自体を低下させます。二輪教習は……
・スラローム(先行動作、反射能力)
・一本橋(体幹、筋持久力)
・クランク&Sコース(視線移動と低速の同時コントロール)
等、身体能力を必要とする課題が多いのが特徴的。また、転倒がつきものですから車体を引き起こす際の「ギックリ腰」、そしてこれからの季節は炎天下の日焼けや熱中症にも注意しなければなりません。

身体が資本です。「もう無理」と思ったら諦めても構いません。それでも諦めきれないのなら「普通自動二輪(125㏄以下に限る)」という小型限定免許に変更するという選択肢もあります。ほとんどのライダーは趣味の域を超えることはありません。健康第一です。
私たちがバイクに乗る理由

暑い、寒い、涼しい……その時の感情と景色が一体となり思いとして残っていきます。肌で景色を感じることは「なぜバイクに乗るのか。」という疑問に対する一つの答えかもしれません。








